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Sea Life Story's vol.18

モデルkanaさんと巡る美しさとおいしさに満ちた よくばりなショートトリップ

モデルkanaさんと巡る美しさとおいしさに満ちた よくばりなショートトリップ

アクティブな旅もいいけれど、
ときには美しいものにたくさんふれる
スマートでシックな旅もしてみたい。

風景、アート、そして美食に出逢うことで、
インスピレーションを与えてくれるような、
そんな旅を。

ココロにも新しい刺激が欲しくなるのは、
季節の変わり目だからでしょうか?

舞台にセレクトしたのは、
生涯にわたり「本当の絵画とは何か?」を
追い求めたコンテンポラリーアーティスト、
清川泰次も愛した〈御前崎〉。
ここならきっと、琴線にふれる
“何か”を見つけられるはず。

今回もモデルのkanaさんとともに、
このまちにある「美」を探しにゆきます!

そこはかとない甘美さと

一皿の輝きに出逢う旅へ

Prologue

ローカル旅の楽しみは、とにかく自然の恵みを満喫すること。山、川、海を巡り、新鮮な魚介はお刺身で、山菜は天ぷらで。そんなスタンダードでクラシックな満喫の仕方ももちろん愛しいのだけれど、どちらかといえばそれは初めて訪れる旅のコースの選び方。その土地が気に入って、二度目、三度目ともなれば、もっとディープなスポットを求めてしまうのが人情ですよね。

モデルのkanaさんともども二回目となる、今回の御前崎の旅のテーマは「美」。ウィンドサーフィンの聖地であり、カツオやシラスの名産地でもあるこのまちの、とにかく美しいモノ、そして、素敵なシェフたちの手によって美しい料理へと昇華した、おいしい地産食材を味わい尽くしてしまおうという、よくばりなショートトリップなのです。

「マリンスポーツや海の幸のまち、っていうイメージがありますけど、「美」というテーマでも旅ができるなんて、ちょっとびっくりですね。期待しています」

Kanaさんの期待に応えるべく、まずは国内でも数えるほどしかない“砂丘”へと足を運んだ。

浜岡砂丘

30kmの白砂の一角にある、
雄大なファンタジー

上空から、たとえば九州などからのフライトで富士山静岡空港へアプローチするとき、太平洋沿いに真っ直ぐに伸びた、とても長くてあざやかな一本の白い線に目を奪われる。海のブルーと、陸のグリーンを分かつ、30kmにもおよぶ雄大なホワイト・ライン。それが〈南遠大砂丘〉だ。

天竜川から5市(浜松、磐田、袋井、掛川、御前崎)にもわたるこの白砂の海岸線は、“砂丘”と呼ばれているものの、その大半はよくあるなだらかなビーチで、一般的に思い描かれるダイナミックに隆起した砂丘らしい砂丘はすくない。ひとつは、日本三大砂丘に数えられることもある浜松の中田島砂丘。そしてもうひとつが、今回の旅の出発点でもある、ここ〈中田島砂丘〉だ。

「こんなところがあったんですね」

大空へ向かって美しい弧を描いた砂丘を前に、kanaさんはそうつぶやいた。茫然と。登ろうとするもすぐに足を取られ、頂上に着くころにはすっかり息が切れてしまう。直径1mmに満たない砂粒を、どのくらい、どうやって集めたらこうなる? 民話のようにファンタジックな解説をされても、納得してしまいそうなスケールだ。その昔、山のように大量の砂が天から降り注いできた、とか。そう、ちょうど砂時計の砂みたいに。
実際には「遠州のからっ風」と呼ばれる強風や、川の流れで運ばれてきた砂が堆積して形成されているのだが、いずれにしても、ここに膨大な時の流れが積もっているのは確かだ。地球規模の、巨大な砂時計。その上で私たちは、時を忘れてシャッターを切り続けた。

小雨が降り出したり、晴れ間が覗いたり。天気はいっこうに落ち着かなかったけど、まちなかにいるときとちがい不思議とイヤな気持ちにはならなかった。降り注いではたちまち砂に染み入り、消えてゆく雨粒。耳に心地いい、やむことのない海鳴り。自然の偉大さを感じさせる包容力に満ちた景色は、心を、想像力を豊かにしてくれる。―ずっと、こうしていられそうですね―。あてのない旅なら、kanaさんの言う通り、いつまでもぼんやりと海や砂を眺めていたい気分だった。

清川泰次芸術館

ちいさなまちにある
無限の奥行きを感じるアート

雄大な自然の造形にふれたら、今度はヒトの生み出した「美」にふれてみたい。訪れたのは、ニューヨークのグッゲンハイム美術館や東京の国立近代美術館をはじめ、日米の主要美術館に作品が永久保存されているコンテンポラリー(現代)アーティスト、清川泰次(1919-2000)の名を冠した〈清川泰次芸術館〉。

「こういうシンプルな作風のアート、好きです。すごい、惹きこまれる」

ホワイト・キューブスタイルの室内に展示されていたのは、清川泰次が生涯に渡り描き続けた抽象画、つまりカタチのないものが描かれた作品群。生前の彼が海の見えるこのまちをいたく気に入り寄贈したという、400点にも上る作品がこの美術館に収蔵されている。

無作為にも見える色や線、不可解なカタチの集合体。それらにストーリーはない。けれど、胸が清々しくなったり、ユーモアを感じさせたり、どこか不穏さが漂っていたり、シンプルに感動したり。「私的にはどれも可愛らしいんですけど、不思議な奥行きがありますよね」と言ったkanaさん。アートのすばらしさ、そして清川作品のすばらしさは、その自由性にある。芸術はよくわからないから、と敬遠している人がいたら、ぜひこの美術館を訪れてほしい。そして一つひとつの作品をじっくり眺めてみてほしい。それは些細かもしれないけれど、きっと心に何かしらの変化があるはずだから。

イルピアット

イタリアン×ローカル食材が醸す
“御前崎らしい”おいしさのレイヤー

美しいモノを堪能したら、その気分をキープしたまま、ヴィジュアル的にも美しい食事を楽しみたいと、市の中心街にある〈イルピアット〉へ。店名はイタリア語で「料理」、もしくは「食堂」。シンプルに食事を楽しんでもらおうという、素朴でステキな意図が伝わってくるネーミングだ。ランチタイムになると、平日にもかかわらず店の前の駐車場にびっしり車が停まっていて、入ったことがなくても人気店なのだなと分かる。open は2017年の8月。2年間も行列が絶えないという事実が、そのおいしさを物語っている。

ランチコースをオーダーし、まず出てきたのはニンジンのスープ。あっさりと、それでいてしっかりとした素材の風味が鼻に抜ける。うまい。続く前菜は、フリッタータ(厚焼き玉子のイタリア版)、鶏肉ときのこのマリネ、ピクルス、ジャガイモと自家製ツナ(御前崎産のカツオを使用)のサラダ、ボローニャソーセージとクリームチーズのカナッペと、なんとも豪華。どれをとっても見た目を裏切らない、期待以上の味わいに、kanaさんの表情も思わずほころぶ。

「スープの野菜はほとんど契約農家のものです。そのほかの食材もできるだけ地産のもので、肉・魚に関してはまず地元ですね。でも、調味料やオリーブオイル、オリーブやケイパー、ドライトマトなんかは質のいいイタリア産。地元のいいものに、イタリアンならではのスパイスを掛け合わせて“御前崎らしいイタリアン”を心掛けています」とマスター。

この日のパスタは、お店の名物料理ともいえる、イタリア産ポルチーニ茸をつかったキノコのクリームソース。味の方は、言わずもがな。山の風味と、濃厚なミルキーさ、しっかりした味のあるパスタのレイヤーが、舌の上でとろけるシアワセを実感。なんでも、塩、玉子、デュラム小麦のセモリナ粉にこだわり抜いた生パスタを、はるばる淡路島から仕入れているのだとか。Kanaさんが「めっちゃおいしくないですか? コレ」としきりに“おかわり”していたパンも、県外から取り寄せたもの。地産地消を根っこに置きつつ、でもそこにとらわれず、本当においしいものを届けたいという思いが、料理の端々から伝わってくる。タップナードソースが上品なメインの「御前崎産キンメダイのソテー」やドルチェの「自家製ミルクティープリン」も、ペロリと平らげちゃいました。

まるよ茶屋

立体的な魅力と奥深さを味わう
お茶のトータルセレクトショップ

静岡といえばお茶。お茶といえば静岡。おいしいお茶を飲むだけなら県内のどこにいてもできるけど、お茶の魅力、奥深さを“実体験として”味わえる場所は、どのくらいあるだろう。〈まるよ茶屋〉は、お茶の味や香りがどう成り立っているのか、その魅力を平面的に(=知識として)だけではなく、立体的に(=体験として)教えてくれる茶匠だ。和をベースにカフェのテイストをプラスした“ふらっと立ち寄りたくなる”外観にも、新しい時代の茶屋をつくっていこうというスタンスが表れている。

茶のリーフをあしらったチャーミングなのれんをくぐると、外観からでは予想できなかった、屋根裏まで吹き抜けになっている広々とした空間が現れた。やわらかく射し込む外光が心地いい。入ってすぐの左側には、茶器やお茶請けの菓子、チルドのお茶系スイーツがズラリと並ぶ販売スペース。雑貨屋に行くノリで、ショッピング目的だけでも満喫できそう。右側には「晴」「藍」「茜」など、キュートにパッケージングされた20種類ほどの〈まるよ茶屋〉のオリジナルブレンドが整然と並んでいる。奥のカフェスペースでゆるりと嗜める緑茶や、お茶から生まれたラテ、フラッペ、ソーダ、そしてランチメニューも、ここでオーダーできるようだ。

しかしこの店の真骨頂は、Barカウンターならぬ「呈茶カウンター」。試飲スペースも兼ねているのだが、ここでは、複数のお茶の葉を、思いのままに組み合わせて、自分好みのお茶をつくれる「ブレンド体験」ができる。

体験の前に供されたのが、御前崎のオリジナル品種「つゆひかり」。エメラルドグリーンのつやに、すっきりした清涼感。香り高くて、ほんのり甘い。「これはブレンドしていません。単一品種でも完成度が高いので」とオーナーの赤堀さん。Kanaさんにも「この上品な香りがいいですね。渋みがすくなく、紅茶を飲んでるみたいに華やか。もっと知られてもいい銘柄だと思います」と好評。クオリティの高い単一品種の味を知ったら、次はいよいよブレンド体験へ。

“味”の濃い茶葉。“色”が鮮やかな茶葉。“香り”の芳醇な茶葉。まずはお茶づくりの基本となる3種類の茶葉を、それぞれ単体で試飲。レクチャーを受けながら、自分好みの配合でブレンドしては試飲し、バランスを整えていく。「こんなに茶葉の組み合わせでちがうんだなって、お茶の多様性がよくわかりました。私は焙じ茶とか玄米茶が好きなので、香りが強めのブレンドに。プライベートでもまた来たいです」。そんなkanaさんのような客のために、一度ブレンドしたお茶は、来店すればいつでも買うことができる。毎月4のつく日(4、14、24日)は近隣のショップや農家が集う「マルヨガーデン」というマルシェも開催。茶そばやシラス丼、バラエティに富んだ具材のおむすびから抹茶パフェなどの茶スイーツまで、カフェメニューも充実。“お茶の総合デパート的セレクトショップ”というフレーズが頭をよぎる。友人と、パートナーと、家族と、あるいは一人で、休日にゆっくり時間を掛けて訪れてみたい。〈まるよ茶屋〉は、そんな店でした。

ハチロクハイフン

素材のポテンシャルを引き出すフレンチで、
地産食材のグラデーションに舌鼓!

ただ高価なものを口にすることだけが、食の贅沢ではないという清貧なムーブが生まれ、2000年代に入ってから「スローフード」なるイタリア生まれの概念が日本でも流行した。いまはさらに「ローカル・ファースト」という言葉を各地で耳にするようになってきている。その結果、都会のほうがおいしいというイメージでとらえられがちだったフレンチなどでも、地産の食材をきちんと生かすことで、都会人もファンになるようなハイセンスなお店が地方でもだんだん台頭してきた。この〈86‐(ハチロクハイフン)〉みたいに。

「うわぁ、ステキ!」とkanaさんが声を上げたのは、遠州地方で採れた野菜をふんだんにつかったバーニャカウダー。フレッシュな大地の恵みがカラフルにコーディネイトされた木目調のトレーの上には、可愛らしいミニサイズの一輪車やじょうろ型のポットが。テーブルの上を一瞬で農園に変えてしまう演出がニクい。どれも濃厚な滋味があって、食べているそばから元気が湧いてくる。

季節によって変わる黒板メニューからはパスタをチョイス。どれを食べてもおいしいのだと、一皿で実感させてくれる味の奥行きに、たちまち店のファンに。メインには「遠州黒豚のロースト」を。盛り付けのグラデーションのすばらしさ、そして肉の旨味やコクもさることながら、それを最大限に引き出す火入れ加減、さらにソースの味付けが絶妙。上質な牛ステーキ顔負けの、圧倒的な満足感と余韻に浸らせてくれる。「これ、もう一皿たべたいです(笑)」と、kanaさんもお気に召した様子。東京のフレンチ・レストランで修業したという、ちょっと寡黙そうに見えるマスターは、話すと実は気さくな人で、「素材は農家に直接足を運んで買い付けているものもあります。この店をきっかけに、もっと御前崎に興味を持ってもらえれば」と地元思いなやさしい一面も。料理とのマリアージュがしっかり考えられたワインリストも充実していて、じっくり腰を据えて夜を過ごしたくなる。このまちに来たら必ず寄りたい場所が、またひとつ増えてしまった。

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さて、「美と食」をテーマに巡った今回の旅。Kanaさん、いかがでしたか?

「アクティブな旅をした前回とぜんぜんちがう側面があって、とっても楽しめました。砂丘、美術館、お茶、地元の食材を生かしたレストラン。ほんとうにどれも美しくて、おいしくて、かなり旅心を満足させてくれますね。もっとおもしろい場所があるのかなって、まちにも興味が湧きました。また秋ごろ来てみたいです」

そう、このまちにはまだまだ魅力が詰まっているんです。
次回は秋の御前崎を巡る旅。こうご期待!

モデル:香村 桂奈 写真:松本 幸治 デザイン:岩崎裕也 企画・編集・文:志馬 唯