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TOPIX

浜岡砂丘マラソン

2018年11月22日、浜岡砂丘マラソンを訪ねました。

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強い風によって描かれる風紋が、より美しく現れる、冬の〈浜岡砂丘〉。御前崎の観光名所として知られるこの場所で、54年目を迎える伝統行事があります。池新田高校の生徒たちによる「浜岡砂丘マラソン」です。

練習を重ねてきた生徒たちが、冷たい遠州の空っ風ふく砂丘で迎える本番は、毎年11月下旬。今年の勝負の日となった11月22日は、厚い雲、風と雨に見舞われ、かなりの悪天候となってしまいましたが、先生方の安全確認の末、決行することに。

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海鳴りが轟き、砂浜に強い波が打ち付ける荒天のなか、生徒たちは臆することなくつぎつぎにストレッチを終え、入り口にある高低差の激しい砂丘を登り海辺へ向かっていきます。この砂丘の頂上は、地球の丸さが感じられる、ゆるやかに湾曲した水平線が眺められることで有名。彼らの眼前にも、パノラマの空と太平洋が広がります。

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コースは、スタート地点を中心に、東西それぞれ1km先の場所を折り返し地点として、男子は8km、女子は6kmを走ります。スタート前に足踏みしたり、身体を寄せたりしながら、冬の海の寒さをなんとか紛らわそうとする体操着姿は、見ているこちらまで寒くなります。保護者らしき観衆も、身震いしながら厚い上着を着込み、応援にかけつけていました。

スタートの合図とともに一斉に湿った砂浜の上をかけていく生徒たち。その姿がしばらくすると東の白い霧雨の向こうに消え、数分後には霞のなかからちらほらと黒い人影が現れる。先頭集団が強い風を受けながら、勢いよく波打ち際を駆けてきます。

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冷たく当たる雨や風に切り込むように、身体を前のめりにして駆けていく若者たちの雄姿。持久力も去ることなら、忍耐力や気合い、根性との勝負です。そしてこの「浜岡砂丘マラソン」が大変なのは、まさに砂丘の上を走ること。一歩進むごとに、砂にめり込むかのように足をとられ、アスファルトの何倍もの負荷がかかる不安定な砂上を、バランスをとりながら進まなければなりません。

男子生徒がちょうど半分くらいの距離を走り終えた頃、今度は女子生徒がスタート。本気で上位を目指す者。自己ベストの順位を狙う者。最後まで諦めずに走ることを目標にする者。さまざまな思いを抱えながら、生徒たちは強風のなかを黙々と走っていきます。先生やギャラリーの地域の皆さんも、個人の名前を呼んだり声をかけたりして、彼らを後押し。

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マラソンの最後に立ちはだかるのは、スタート前に上った入り口の大砂丘。歩くだけでも一苦労なこの砂丘を、何kmも走った後に、息を切らし前かがみになりながら頂上を目指します。だからこそ、その先にある下り坂を駆け下りて迎えるゴールのよろこびはひとしお。皆、清々しい表情でゴールを迎えていました。

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無事にマラソンを終えたあとには、毎年恒例のお楽しみ。PTAの方々が、全力を尽くした生徒たちを労おうと大鍋にタップリと用意してくれた、具沢山の「豚汁」を振舞ってくれます。悪天候で冷え切った身体が芯から温まる、ありがたい一杯。たっぷりよそわれた豚汁に、好きなだけ薬味のネギを入れ、仲間と一緒に「いただきます」。この豚汁を楽しみにマラソンを頑張る生徒も多いとかで、「おかわり」が続出していました。

寒空の下、友人と一緒に砂丘を走る、御前崎ならではのこの行事。その辛さだとか、一杯の豚汁の温かさだとかは、いまはまだわからなくても、いつか彼らが大人になって振りかえるとき、きっと地元愛を形づくる、貴重な思い出の一部になっているのでしょう。

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UMICO編集部
2018年11月