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Sea Life Story's vol.20

モデルkanaさんと往く好きになるカフェとおいしいコーヒー、そしてスイーツを巡る旅

モデルkanaさんと往く好きになるカフェとおいしいコーヒー、そしてスイーツを巡る旅

スペシャルティコーヒー、
サードウェーブからのフォースウェーブ、
すこしさかのぼって、
シアトル系にクラシックスタイル。

世のコーヒーをとりまく
ムーブメントはめまぐるしい。

だけど、ローカルの流れは
もうちょっとゆるやかだ。

ジャンルにこだわらず、
好きなコーヒー、スイーツ、カフェ飯を、
好きなスタイルで振るまう。
そんな愛すべき店が、そこかしこにある。

モデルkanaさんと巡る御前崎の旅の
ラストを締めくくるテーマは、
旅の休息に欠かせないカフェ。

海のまちの“また来たくなる”
ゆる~くてステキなカフェを、
一挙ご紹介しちゃいます。

旅をほんのりシアワセにする

記憶にのこる、ステキなカフェ時間

Prologue

旅先のカフェの贅沢さ。
それは時間の使い方にある。

あそこも、ここも、それからあっちにも……。景勝地をぐるぐる回るせわしないスケジュールのなかに、ゆったりとカフェでくつろぐ時間を入れる。するとどうだろう。旅全体に、ゆとりが生まれるような気がするから不思議だ。

さらに言えば、カフェは暮らしの身近にあるものだから、その土地に流れている時間の流れみたいなものを感じることができる。たとえば、沖縄の“うちなータイム”とか。そしていざ行ってみれば、いつの間にやら地元の常連さんたちに囲まれて、ひょんなことから会話がはじまって、ディープなスポットの情報を聞き出せたり。

全4回にわたりお送りしてきたモデルkanaさんと巡る御前崎の旅も、今回がフィナーレ。いままでの旅では見えてこなかった、観光スポットにはないこのまちのお茶目さやあたたかさみたいなものを覗きに、カフェを巡ります。

GOOD  DAY COFFEE|グッデイコーヒー

あたたかみと、こだわりと。
さりげないスタイリングが光る
ちいさなロースタリーカフェ

コンパクトな空間だから、コーヒーの豊かな香りが隅々まで広がる。豆はすべて自家焙煎。手づくり感のあるカウンターやインテリアには、東京で長年ファッションスタイリストとして活躍してきた店主・野崎さんのセンスが、やんわりと滲み出ている。ウッディな内装。並んだ雑誌。壁掛けのリースやポスター。それらが醸す雰囲気がとても落ち着くのは、「御前崎のゆるやかな時間の流れ方が好きで」移住してきた彼女の思いが、体現されているからなのだろう。いわば、御前崎に似合うカフェの、野崎流コーディネイト。

2

「入った瞬間に、あ、また来たくなる店だ、と思いました(笑)」

そしてコーヒーがおいしい! とkanaさんの表情もやわらぐ。店内には常時5種類の豆が販売されていて、一つひとつの特徴を聞きながら過ごす時間もたのしい。「基本的には、豆屋なんです」と野崎さんはいうが、だいたいの客が彼女のハンドドリップをオーダーし、くつろいでしまう。〈GOOD DAY COFFEE〉というネーミングが、とてもしっくりくる空気が、ここにはあるのだ。

12月から春にかけては、白馬乗鞍のスノーボードショップの傍らでコーヒーを淹れて過ごす彼女。現在の店は今年いっぱいの営業で、来春からは御前崎の海沿いに新しい店をオープンするそうだ。きっとまた、旅に来たら必ず寄りたくなるようなステキなコーヒー屋さんになるのだろう。いまから春が待ちどおしい。

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BEACH GLASS|ビーチグラス

シーサイドに流れる
ゆるやかな時間と「ピタパン」のサンド

御前崎のビーチ沿いを走る海岸線には、3つのカフェがある。そのひとつが、シーサイドライフがコンセプトの〈ビーチグラス〉。愛犬とともに入店できるドッグカフェでもあり、海にまつわる小物やアクセサリーなどを扱う雑貨屋でもある。定型に収まらないスタイルは、まさにコンセプト通り。

ドアを開けると、まず雑貨の多さにおどろく。そしてMENUを開けば、そのバリエーションの豊富さにまたおどろく。パスタ、カレーがそれぞれ数種類。ロコモコ、海鮮ピラフ、複数人でシェアできるボリューミーなガーリックシュリンプ、フィッシュ&チップス。ケーキにタピオカドリンク、ハーブティーがこれまた数種類……。「うわ~、これは迷いますね」とkanaさん。あれこれと、ゆっくり時間をかけてランチをセレクトするのも、シーサイドライフっぽくて、いい。

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「おすすめは……どれもおいしいけどね(笑)。ハワイ語で『マヒマヒ』という白身魚をピタパンでサンドした、御前崎のB級グルメの代表『波乗りバーガー』は、わりと人気かな」

店に立つオーナーご夫妻の奥さんが、そう教えてくれた。オープンからもう14年も経つという。ときおりハワイに出かけ、雑貨を仕入れてくることもあるそうだ。勧められるがまま、波乗りバーガーとハーブティーを注文し、テラス席へ。潮風が漂ってきて、陽気のいい日は気持ちがいい。夏ならなおさらだろう。

ふらりと少女が独りで入って来て、テイクアウトでバーガーを注文した。待ち時間に雑貨を吟味し、いくつかのアクセサリーを気に入った風な面持ちで眺めていた。買いこそしなかったけれど、あたたかいバーガーを抱えて店を出た彼女の顔は、どこか満足げに見えた。そんな時間がここでは幾度も繰り返されてきたのだろう。もちろん、これからも。

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KOPIPOT|コピポット

サーファーたちに愛される
ナチュラルで自由な気風と“絶品”バーガー!

ビーチ沿いにあるカフェのふたつめ〈コピポット〉には、ちいさな店からあふれんばかりのにぎわいがあった。よく陽に焼けた肌の少女と、やんちゃそうな少年が、店内とテラスを行ったり来たりして、無邪気な笑顔を振りまいていた。どちらかの親であろう夫婦もツヤのいい褐色で、マリンスポーツはお手のもの、といった風情をしている。「よく静岡から来るんですよ」、「ウィンドサーフィンをやる足で」と別のカップルが言った。独りでベンチに腰かけていた男性に話しかけると、初めて来たという。日焼けしているので、てっきり常連かと思った。波乗りたちに愛される店。それが〈コピポット〉の第一印象だ。

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にぎわいの中心にいるのは、店主のミキさん。忙しく立ち回りながら、客たちの相手をしている。サバサバとしつつもどこかあたたかみのある接客から、その人柄が伝わってくる。「ここにいてもそうだけど、いろんな所に旅してさ、仲間が増えていくのがうれしいんだよね」。彼女に逢いに、遠方から訪ねてくる人たちもちらほら。

客たちのもうひとつのお目当ては、本格的なハンバーガーの数々。アメリカンといおうか、ジューシーでボリューミーで、満足すること請け合いのラインナップだ。味に奥行きを持たせているのは、御前崎産の天然塩をブレンドしてつくったハーブソルト「コピ塩」。パテの味の決め手にも、付け合わせのベルギー産オーガニックポテトにもつかわれている、コピポット自慢の自家製商品。料理につかえば、これだけで味が決まってしまうとネットで噂されるほど人気の塩で、売切れては入荷を心待ちにしているファンもいるそう。

店内に漂う自由な気風と、おいしいハンバーガー。このまちを訪ねたら立ち寄りたい店が、また1軒増えてしまった。

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PACIFIC Cafe|パシフィックカフェ

ハワイアンなカフェめしと
オーシャンビューで南国気分♪

御前崎のビーチサイドカフェ3店。最後に紹介するのは、御前埼灯台の麓の丘から突き出るようにたたずむシンボリックな存在感が印象的な〈パシフィックカフェ〉。小高い丘のうえから太平洋を一望できるゼイタクなつくりに加え、MENUにもデザインにもハワイアンな雰囲気がそこはかとなく漂う、地元でも人気のカフェだ。

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「ロケーション、バツグンですね! チョイスできるMENUも多いので、友だち同士でも、パートナーとでも、家族連れでも、一緒に来る相手を選ばない感じがいいかなと思います」

ハワイのトレンドを意識しながら展開しているというラインナップには、ロコモコやアヒポキにはじまり、ガッツリ系の丼ものやタコライス、ハワイアンパンケーキまで、kanaさんのコメント通り、かなり幅広い。「レモンジンジャーのさわやかなテイスト、好みです」。眺めのよさも手伝ってか、ランチタイムには満席になることも珍しくないという。よせてはかえす波を見ながらの食事は、なるほど、長居してしまう人の気持ちがよくわかる。

ゆったりとした南国ムードを味わいたくなったら、御前埼灯台の麓のカフェを訪れてみてはいかがでしょうか。

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MERIKENKO|メリケンコ

元パティシエも絶賛の
いま行くべき地方のスイーツショップ!

「一つひとつのクオリティがとにかく高くて、アレもコレも食べたくなっちゃう」

ビーチからすこし離れた、御前崎の中心街のはずれにあるスイーツショップ〈メリケンコ〉は、細部にまでこだわりが見えるかわいらしい外観のデザインセンスをそのままケーキに凝縮したような、繊細で丁寧な仕事が人気を博している「いま行くべき」店だ。

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「この粉、なにをつかっているんですか?」と元パティシエのkanaさんが興味津々で聞いていたのは、イートインスペースでしか食べられないお店特製のスコーン。「静岡県内産の小麦粉をつかっているんですけど、中力粉とおなじ成分みたいなんですよ」とスタッフの方。ふんわりしていて、かといって軽すぎもせず、しっかり粉の味が伝わってくる風味の奥行き。噛むほどにちがいが出るのは、素材の質がいい証拠なのだろう。

ほかにも、連日売切れが続出しているお店オリジナルの「プリン」や、GRAND MENUであるケーキの数々もぜひ食べてほしい。味や食感の隅々まで行き届いた気遣いに、きっと満足するはずだから。

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MUSUBI COFFEE|ムスビコーヒー

「コーヒーを介して地域の交流を」
ギフトショップがプロデュースする
自家焙煎珈琲店

厳選した豆を、小ロットで直火焙煎する。
そのコンセプトは、コーヒーそのものの幅広い魅力を伝えることにほかならないのだが、言い換えるなら「いろいろな人がいるのだから、一人ひとりの好みに極力合わせたオペレーションがしたい」という気持ちの表れでもある。そんなスタイルの〈MUSUBI COFFEE(ムスビコーヒー)〉を運営しているのがギフトショップ=贈り物専門店であると聞いて、妙に納得した。コーヒーは飲み物であると同時に、日々のなかにあるささやかなギフトなのだと気付かされる。

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「自家焙煎をはじめたきっかけは、焙煎したての珈琲を初めて口にしたとき、そのおいしさに感激したからです」。そう語るオーナーの伊藤さんは、独学で全国のコーヒーを学び歩き、現在のスタイルにたどり着いた。店ではコーヒーの販売だけでなく、地域交流の場としてさまざまなイベントを行っている。週末のカレンダーは、ワークショップなどでぎっしりだ。

「ギフトショップに併設されているので、贈り物を選びながら、疲れたら1杯のコーヒーを飲める。スーパーも隣なので、買い物帰りによってもいい。まさに地域の人たちのためにあるお店ですね」とkanaさん。オリジナルブレンドを嗜みながら、一日の疲れを癒すひととき。やはりカフェはまちに必要なのだ。それが旅先であっても、地元であっても。

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さてさて、kanaさんとともに、全4回にわたりお届けしてきた御前崎の旅シリーズ。いかがでしたでしょうか。最後はkanaさんの感想で締めくくりたいと思います。

「初めての旅では“海とアクティビティ”がテーマで、その次が“うつくしいものと美食”。つづく3回目では伝統文化の奥深さにふれて、最後はCafé。それぞれにいろんな魅力があって、多彩な人たちがいて。つくづく御前崎って、懐の深いまちなんだなぁと思いました。もしまだ訪れたことがないって人がいるなら、一度は来てみるといいですよね。きっと何かしら、アンテナに引っかかるものがあるはずですから」

海と風と美と食と伝統とカルチャー。
このまちはまだまだ、知らない魅力であふれています。
それでは、またいつか会う日まで。

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モデル:香村佳奈
写真:松本幸治
編集・文:志馬唯