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Sea Life Story's vol.5

ジャズライブ、演劇、絵本コンクール──。エンターテイメントのある図書館

御前崎市立図書館 アスパル
ジャズライブ、演劇、絵本コンクール──。エンターテイメントのある図書館

図書館は、
静かに本を読むか、
もくもくと勉強するだけ。
そんな古くさいイメージを払拭してくれる場所が、
御前崎にはある。

読んだり知ったりする以上のよろこびを
これでもかというくらいたたえた
市立図書館「アスパル」では、
ときに一冊の本よりもドラマティックな出来事が、
次々と生まれているらしい。

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「こんなに充実した図書館が、このまちにあったの⁉」
都会から移住してきたある女性が御前崎市立図書館〈アスパル〉について、そんな感嘆を漏らしていたことがある。彼女が驚くのもムリはない。まちの人口3万人強に対し、28万冊を超える蔵書。小説や専門書の類はもちろん、暮らしにダイレクトに役立ちそうな料理や裁縫の本、スポーツやアート関連まで、かなり豊富なラインアップだ。コンビニや書店で見かけるライフスタイル誌やファッション誌など、雑誌関連も最新号がズラリ。旅行誌もけっこうなボリュームなので、旅の前に立ち寄ってみると楽しみがふくらむだろう。

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『もりのかくれんぼう』末吉暁子=作 林明子=絵 偕成社刊

『もりのかくれんぼう』末吉暁子=作 林明子=絵 偕成社刊

特筆すべきは、絵本などの「児童書」の多さ。本館の約1/3のスペースを紙芝居や大型絵本、児童文学などが占め、ゆったりした読書スペースまである。半円型の建物をぐるりと囲むようにしつらえられたガラス窓からは陽の光が射しこみ、開放的な気分で本の世界にふけるひとときを過ごせるようになっている。ここまでくるともう、公共施設というより「お出かけスポット」と呼んだほうがシックリきそうだ。

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ほかのまちで図書館を利用したことがある人ならそのスゴさがわかるが、〈アスパル〉がおもしろいのは、ふつうは図書館員しか立ち入れない「閉架書庫」に自由に入って本を探せるところ。コアな書籍や古い本をチラ見したい人にとって、これほど便利なことはない。

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そして〈アスパル〉のなによりの特徴は、そのエンターテイメント性。定期的に催されるイベントは「ホントにコレ、図書館でやるの!?」と言いたくなるほど、型破りなものばかり。ジャズバンドによる夜のライブ演奏。SPAC静岡県舞台芸術センターによる、演劇やお茶を片手に台本を読み合わせるリーディング・カフェ。夏の夜の閉館後に子どもたちを招待して行われる、お化け屋敷風の館内探検。そのどれもが無料なのだから、とんでもなくゼイタクな話だ。「お出かけスポット」と書いたが、もはや「アミューズメントパーク」のほうが適切に思えてくる。

イベント時にはカウンター前のスペースがステージに変わる

イベント時にはカウンター前のスペースがステージに変わる

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2階の廊下では写真や絵の展示が行われることも

2階の廊下では写真や絵の展示が行われることも

あらゆるイベントのなかでも、近年注目が高まってきているのが、年に一度行われている「アスパル手作り絵本コンクール」。市民団体の活動から生まれたこのコンクールは、2017年で3回目を迎え、小中学生を中心に市内外から毎年60~80点ほどの手づくり絵本が寄せられる。いちばん遠方では宮崎県からの応募もあり、認知度は年を追うごとに上がってきているようだ。

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ユニークなストーリー。心のこもった絵。ちょっと感動的な話……。子どもたちがひたむきにイマジネーションを働かせて描いた絵本たちは、読んでいてとてもほほえましく、「ああ、こんなときが自分にもあったよな」と、遠い日の記憶や、どこか懐かしい感情をすうっと呼び起こしてくれる。このコンクールがもっと広まって、いつまでも続いてくれることを願わずにはいられない。

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アスパル(ASPAL)とは「Amenity Space Progress And Learning(進歩と学習の快適空間)」の略。図書館員いわく「新刊にしても週刊誌や月刊誌にしても、利用のすくないものは常に見直しをかけている」そう。つまり、みんなが利用すればするほど、みんな好みの図書館になっていくというわけだ。それはイベントもしかり。その名の通り、これからも進化し続けていくのだろう。

インターネットの普及によってボタンひとつで本が買える時代になったが、28万冊が読み放題で、さらにライブや演劇まで楽しめるサイトなんてない。わたしたちはいまこそ、このすばらしき夢と知識とエンターテイメントが詰まった施設を、もっと楽しむべきなのかもしれない。

写真:朝野耕史 文:志馬唯

御前崎市立図書館 アスパル