海のある暮らしを楽しむ。Life&Culture Web Magazine
御前崎市シティプロモーションサイト
Instagram
Sea Life Story's vol.17

モデルkanaさんと巡る海とアクティブに癒される旅― Short Trip in OMAEZAKI Vol.1 ―

モデルkanaさんと巡る海とアクティブに癒される旅― Short Trip in OMAEZAKI Vol.1 ―

――夏だから、旅がしたい――

そう、思い立ったが吉日と
「女子旅」を試みようとしてみたものの、
よくよく考えれば、
その旅先をセレクトする基準は
けっこうあいまい。

フォトジェニック? 温泉?
それともやっぱり、旅グルメ?

でも、どこに行くにしたって、
そこに「ストーリー」があるほうが、
俄然おもしろい旅になるのは、
めいめいはくはく。

そうしてやって来たのが「おまえざき」。
きっと多くの皆さんにとって
耳慣れないこのまちには、
どんな物語が待っているのだろう。

モデルのkanaさんとともに、
この海のまちの魅力をひも解く旅、
はじまります。

2

3

まばゆい夏の太陽が、きらきらと海面を照らしている。心地いい潮風が、サマーコーデで露出した肌をやさしくなでる。毎年7月になると、海を愛する私たちは、このまちのことを思い出さずにはいられない。ウィンドサーフィンのメッカとして、マリンスポーツシーンで絶大な人気を誇る、静岡県の御前崎市。

魅力的な海があるとなれば、そこにはもちろん、ピッチピチのおいしさ弾ける新鮮なシーフードだってある。このまちの名産は、カツオにシラスにキンメダイ。どうせなら、すべての魅力を味わい尽くしてしまえばいいと、私たちはビーチサイド近辺を中心に旅のプランを立てた。パートナーは、イベントプロデューサーとして多方面のカルチャーにも精通している、モデルのkanaさん。

「御前崎って、はじめてです。どんな出逢いがあるのか、とても楽しみ」

夏の旅ゴコロくすぐる、海と幸せに満たされるショートトリップへ、いざ。

旅のはじまりはオーソドックスに、そのまちの最たる―もしくはそれに準ずる―アイデンティティを訪ねるのが、なんだかんだでやっぱりベター。京都はいっぱいあり過ぎて選べないとしても、奈良なら大仏、香川ならうどん屋、博多なら屋台?(願わくはラーメン)。そしてこのまちで真っ先に訪れたのが、〈御前崎港〉。
だって、港町ですから。

この港のユニークなところ。それは、近所のおばちゃんでも、下校中の小学生でも、通りすがりの旅人でも、誰でもふらっと立ち寄り見学できちゃうオープンな気質。あまりにふつうに入れてしまうので、ふ頭をサイクリングしていたらいつの間にか敷地に入っていた、なんてことも十分あり得るくらい。

5

〈御前崎港〉では、季節により1日6~7回もセリが行われるという。そのうち4回がシラス。そのツヤ感たるや、もう最高。誰かごはんと醤油を持ってきて! と叫びたくなる(ホントに持ってきても、ここではもちろん買えません。涙)。ちゃっかり取材者の特権、“おすそわけ”というイレギュラーでうれしいハプニングにあずかったkanaさんも「すっごくおいしい!」と上機嫌。

セリは朝7時からがカツオで、8時がいちばんたくさんの種類が並び、8時半から1時間半おきにシラス。午後にはキンメダイがあるそう。「ちいさい子どもとか、よろこびそうですよね。船もセリも間近で見られるし」とkanaさん。確かに、家族で来るのもいいかもしれない。

食欲と期待感が高まったところで、いよいよ海のまちの散策へ出発です!

御前崎港からすいーっと自転車で3分。今度は水揚げされた魚が“買える”スポット〈海鮮なぶら市場〉へ。獲れたての魚介類や、地元でつくられたりしている加工食品がずらりと揃う〈海遊館〉と、お食事ができる〈食遊館〉に分かれているのですが、来てみてまず驚くのが、そのリーズナブルさ。あれもこれも買い占めたくなるくらい、とにかく安いんです。

7

お隣の〈食遊館〉でも、海鮮丼や刺身定食、鮨などが、お得に食べられるとあって、「近所にあったら、毎日でも来ちゃいます」と、大の魚好きだというkanaさんのテンションも上がり気味。ランチするにはまだ早かったので、人気店のひとつ〈イタリアンジェラート・マーレ〉で「しらすソフト」を注文。「塩味が利いてて、いい感じですね。煎茶ジェラートとか、ほかのも食べてみたいです」。

ちなみに、耳慣れない「なぶら」という響きは、方言ではなく、全国共通の漁師言葉。フィッシュイーター(小魚を捕食する魚)の群れを指すみたい。このまちのシーフードを代表するカツオもそうですね。海のなぶらは、漁師や釣り人にとってのパラダイス。そして陸のなぶらは、私たち一般人にとってのパラダイスでした。

このまちのシンボルといえば、まちがいなくこれ。青空と白亜のコントラストが美しい〈御前埼灯台〉。その誕生秘話がちょっと洒落ているので、紹介したい。

設計したのは、「日本の灯台の父」と讃えられるイギリス人技師、リチャード・ヘンリー・ブラントン。明治政府に雇われていた彼によって、フランス製の回転式フレネルレンズ―いまでは一眼レフのファインダー内につかわれていたりする―が日本ではじめて採用された灯台なのだ。それまでは徳川幕府の建てた灯台がこの場所にあった。

ぐるぐると目の回りそうな螺旋階段を抜けた先にある展望スペースからの眺めは、日常ではなかなか出逢えない絶景スポット。視界に収まりきらない水平線は微妙に湾曲していて、地球が丸いことを感じさせてくれる。「景色も風も、とても気持ちのいい場所ですね」とkanaさん。恰好のフォトスポットに、カメラレンズのもととなった大型のレンズがつかわれているなんて、ちょっぴりいいストーリーじゃありませんか。この眺望、一度体験してみる価値アリです。

さて、いよいよお待ちかねのランチタイム! セレクトしたのは、灯台のすぐ脇にある老舗定食屋〈紀行茶屋〉さん。現代の旅グルメは、まるでお見合いのようで、写真や情報はあらかじめググってしっかり脳内にインプットされているから、期待とドキドキだけが異様に募ってしまう。どうかいい出逢いでありますように―。

なんて心配していたら、「あら、いらっしゃいませ」と気さくなおばちゃんたちの一声で確信。―これ、ぜったいアタリだ―。お店が高台に突き出るように建っているので、見晴らしのよさは灯台並み。畳に座りながら眺める海景は、また一味ちがったよさがある。田舎のおばあちゃん家を訪ねたときのような、まったりノスタルジーにしばし浸り、注文した品を待つ。

10_2

「すごくないですか?これ!」

kanaさんが仰天したのも無理はない。どどーんと出てきたのは、成人男性の親指2本分はあろうかというブ厚いお刺身。自宅でも、ここまで厚切りにする勇気はない。地方都市のサービス精神、ここに極まれり。「今日はあんまりいいカツオが入らなくってごめんよ」と店のおばちゃんたちが謙遜していたが、さすが名産品。それでもかなりの美味でした。しかも定食についてくる「マグロのカレー和え」や「地物ワカメの佃煮」のゴハンが進むこと! 御前崎のおっかさんの味、しかと堪能させていただきました。

せっかくマリンスポーツの盛んな地に来たのだから、チャレンジしない手はない! ということでチョイスしたのは「SUP(サップ)」。安定性の高い広めのボードに乗っかって、パドルですいすい、海の上をゆったりゆらゆら散歩するかのように進んでいく、おそらくマリンスポーツでいちばんイージーなアクティビティ。「私、泳げないんですけど、大丈夫ですか!?」と心配するkanaさん。大丈夫です。初心者でもすぐに慣れるのが、このスポーツのいいところ。ここ数年で爆発的に人気が高まっている理由でもあります。

「わっ! ホントに乗れた!」。恐るおそる海に出たkanaさんも、あっという間に立ち上がり、そのまま行けるかと思いきや…………落ちちゃいました(笑)。しかも後頭部からの豪快なダイブ! それでもすぐさま乗り直し、楽しそうに何度もトライしていました。「意外と乗れるもんですね。もうすこし練習したら、けっこう遠くまで行けるかも」。

SUPやサーフィン、ウィンドサーフィンやウェットスーツなどの用具一式は、〈渚の交番〉でレンタル可能。シャワーもあるので、タオル1枚持参すれば、手軽に御前崎の海を満喫できる。さすがはマリンスポーツのメッカ。

「このお店、すっごく来てみたかったんです!」うれしそうに語るkanaさんが心待ちにしていたのは、御前崎の中心街にある〈タイニー〉。スパイスの配合やソースまで、なるべく手づくりのオリジナルにこだわっているという、御前崎にいながらにしてハイクオリティな本場の味を体験できるタイ料理専門店だ。

「やっぱり女子って、アジアン料理好きな人、多いと思うんですよ。オーナーご夫婦にとって思い出の地だっていう沖縄と、タイの屋台をイメージした店内もすっごくカワイイし。テンション上がります」

パッタイ、タイ風から揚げ、生春巻き。そしてタイビール。注文した品のどれもが「超おいしい! 特にパッタイ、やばいです。都会でもここまでの味、なかなかないかも」。まだ日の高い夏の夜が、異国のスパイシーな余韻とシアワセに満たされながら、すこしずつ更けてゆく。

14

ディナーを嗜みながらすっかりご満悦のkanaさんに、御前崎の旅の感想を聞いてみた。

「出逢う人みんなあったくて、親切でしたよね。本場のシラスのおいしさを知ったり、お魚の安さにビックリしたり。初挑戦のマリンスポーツもいい思い出。派手に落ちましたけどね(笑)。それに、ご当地の新鮮な海鮮グルメから、こーいうカワイくて本格的なアジアン料理まで、いろんな味を楽しめるのが、まちのフトコロの深さっていうか、女子旅的な視点で見たときにかなりポイント高いですよ。いいまちだなって思います」

また来たいですか? との問いに、笑顔で「もちろん!」。

次回は、美と食を巡る、さらなる御前崎を知る旅へ―。

つづく

15

16

モデル:香村 桂奈 写真:松本 幸治 企画・編集・文:志馬 唯