2020
子どもたちが愛着や誇りを持てるまちに

白羽地区には、徳川家康が愛したとされる「白羽柑子(こうじ)」というミカンが生えていて、江戸時代の書物に掲載されるほど有名でした。御前崎町史には、「戦国時代に家康が武田軍の戦いで敗走するさなか、大きな白羽柑子の木に隠れたことで難を逃れることができた。そのときに家康は喉の渇きを癒すために食べた柑子の味が忘れられず、白羽神社の神主を通じて献上させていた」という内容が記されています。白羽柑子は小ぶりで皮が薄く酸味が強いミカンのため、明治以降は甘味の強い温州ミカンが主流となり、白羽地区でも次第に姿を消していきました。
新神子区まちづくり委員会では、郷土の名産として白羽柑子を復活させ、地域おこしのシンボルにしていこうと、2019年4月、川根本町の民家にあった樹齢45年、高さ約4メートルの成木を白羽地区の植物園に移植しました。この植物園には家康の命をつないだとされる井戸も復元されているので、ぜひ足を運んで、家康と白羽地区との関わりに触れてほしいと思います。
私たちの活動はそうした地域の歴史や文化を次世代の子どもたちにつないでいくことだと思っています。御前崎市には遠州地方にサツマイモ栽培を普及するきっかけになったと言われる「いもじいさん(大澤権右衛門)」の言い伝えなど、語り継ぎたい郷土の宝や魅力がたくさんあります。今後も地域の歴史・文化を継承するとともに、子どもたちの郷土愛を育む活動を続けていきたいと考えています。
新神子区まちづくり委員会
曽根 竹男
曽根 竹男